なぜ今、ライカにケースを作るのか

店長エンゾーです。

以前予告していた、ライカのボディスーツ、密かに水面下で試行錯誤が続いておりましたが、ようやく最初のサンプルが上がってきました。
ライカと言えば、「クラシカル」「ノスタルジック」などと表現されることが多いですが、M型ライカは実はどちらでもなく、あえて言えば「変わらない」カメラだなあと思います。

例えば服のデザインの流行が十数年周期で繰り返されるように、プロダクトもまた最新のものが常に最良ではなく、波のようなうねりがあり、「この製品はこの時代のデザインが一番好きだなあ」というようなピークを見出すことが出来ます。
僕にとって、カメラのジャンルで一つのピークを作っているのがライカであり、これだけ変化が早く、またそうあることを顧客や株主から強く求められる世の中で、それをのらりくらりと躱しながらデザインの文法をむやみに変えず、いまだに大切にしているライカ社のモノづくりは、ユリシーズがそうありたいと思う姿勢でもあります。

(本音の本音を言えば、ライカにはゆったりとした撮影テンポが似合うので、デジタルの時代になっても、巻き上げレバーはシャッターチャージの目的で残しておいて欲しかったなあと思うのですが、それはもう懐古趣味と言われても仕方がありませんね(笑)。)

そんなライカにリスペクトを込めて、ユリシーズもボディスーツを作ることにしたのでした。

【意外と難物】
デジタルの時代になって、ライカは銀塩の頃のフォルムより「かなり」分厚くなってしまったので、正直、持ちにくさが倍増しました。そこをなんとかしたかったので、グリップを設けることは絶対条件でした。今までなら、ボディスーツのグリップはすべて後付けで、ケースの上から別パーツで縫い付けてきました。その方が作りやすいのと、無骨なユリシーズのデザインに合っているからです。

しかし、ことライカに関しては、どうもその方法で取り付けるグリップが似合いません。そこで、今回は今までやったことがなかった「絞り加工」によるグリップに挑戦してみることにしました。絞り加工とは、革を水に濡らしで柔らかくした上で、雄型と雌型の間にはさみ、熱をかけながら加圧して立体的に成型する技法です。

ユリシーズの定番素材であるベジタブルタンニンドレザー「プエブロ」は、豊富にオイルを含んでいるため、わりと絞り加工にも向いています。そこでまずは、どの程度の負荷をかけた時に破れるのか、変形の度合いはどのくらいか、加熱と圧迫によって風合いにどのような変化が起こるかなどを調べました。

その結果、少々無茶をしてもイケることが分かったので(笑)、いつものように芯材に木材を封入して、カチッとした握りやすいグリップを型押しで起こしてみました。まだファーストサンプルなので細かいところでアラがあり、特に右手側のホックが、握った時に人差し指に食い込むことが分かったので、セカンドサンプルでは、ボタンの位置を変更する予定です。
(つづく)

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