リコーのカメラに想うこと

NO IMAGE

店長エンゾーです。

モノづくりをしていると、他の人が作ったものを見た時に、その人の考え方や嗜好が、なんとなく分かる瞬間があります。いや、もちろん「分かったような気になっただけ」ということもありえますが。

ユリシーズは・・・と言うより、エンゾーは個人的に、もう長いことリコーというメーカーの大ファンです。昔のブログ(私が間違っておりました)からお付き合いいただいている皆様ならよくご存知かと思いますが、とにかく好きなんです。GXRなどはべた褒めしていますし、ボディスーツも何タイプも作ってしまいました。

一方で、銀塩の時代から連綿と作り続けられている、文字通りリコーのフラッグシップ「GR」。このカメラも、変わらぬコンセプトが貫かれています。

これらのカメラにケースを作ろうと思った時に、ふと、気づいたことがありました。他のメーカーが作る、同じ「ハイエンドコンデジ」と呼ばれるジャンルのカメラにはない、リコーだけの特徴があるのです。それは、

「カメラのグリップ側ではない側面(向かって右側)が、まっ平らであること」。

そんなカメラ、珍しくないだろうと思われるかもしれません。が、よく見比べてみると、ありそうでないんです、そういう平らな部分を持ったカメラ。しかも、GRもGXRもそうなんです(変形ユニットのマウントA12を除く)。

他社の高級機の場合、側面自体は平らだったとしても、そこにアイレット(ストラップ取り付け口)が飛び出していることで、結果的に平らではなくなっています。が、リコーの場合、アイレットすらボディのコーナー部に埋没していて、しかも完全なコーナーの頂点ではなくトップカバー寄りにオフセットしているので、仮にそこにストラップを通しても、やっぱりまっ平らな状態を保てるようにできています。

一体、これは何を意味しているのでしょうか。

その理由に気づいた時、エンゾーは思わずニヤリとしてしまいました。
「開発者は、きっと無類のスナップ好きなんだろうな」と。

例えば、夕暮れ時や暗い室内など、光量が足りずにどうしてもスローシャッターを切らざるをえないときに、平らな側面をどこか柱や壁に押し付けたり、あるいは縦位置でテーブルの上に置いたりすることで、手ブレを抑え込むことが出来るようになっているんです。単純にして、効果絶大な仕掛け。

ポケットや小さなかばんに入れて肌身離さず持ち歩き、三脚すら不要で、24時間スナップしまくる。そんな使い方ができるように、このカメラたちはデザインされているのでした。

残念ながら、まだまだセンサーの性能向上に伸びしろがありすぎる時点で登場したGXRは、他社ライバル機の高感度性能やコントラストAFの精度・スピードがめざましく向上する中で、「センサーが刷新できない」という大きな欠点に泣き、不遇をかこちましたが、コンセプト自体は決して悪くなく、正直「早すぎた天才」だったように思います。

が、エンゾーにとって、常に携行したくなるカメラを愚直に作り続けているリコーは、いちファンとして、この先も心から応援していきたいメーカーなのでした。
 

カメラとその周辺の話カテゴリの最新記事