最近、製造業の現場で起こっていること

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店長エンゾーです。

今日は、昨今の革製品業界で起こっている動きについてご紹介します。ひょっとすると、ものづくりの現場に広く共通する話かもしれません。

革製品には「小さな工房で1人~ごく少人数で作られているもの」と、「少し大きな工場で量産を前提に作られているもの」があります。ユリシーズは工場を持たないファブレス企業ですが、商品の製造をお願いしているメーカーの規模で言うと、前者・後者のどちらにも当てはまります。

このメーカーの現場に、ちょっとした異変が起こっているというお話。


(ユリシーズ定番のストラップ・クラシコの製造風景。)

80年代から90年代にかけて、日本の大手製造業は、より安価で大量に製品を製造するため、海外(主に中国)へと生産拠点を移しましたが、これによって、それまで大手の下請けをしていた中小零細の町工場は深刻な打撃を受け、次々と閉鎖に追い込まれていきました(それは現在も続いています)。俗に言う、産業空洞化ってやつですね。

ここで問題になってくるのは、「Made in Japan」のクオリティーを下支えしてきたのが、他でもない町工場の職人だったということ。これ、実は革製品でも全く同じなのです。

「中国は世界の工場ではなくなった」と言われて久しいですが、以前にもまして、中国の製造業の現場で賃金の値上がりが凄まじく、様々な業種で「脱中国」の動きが加速しています。向かう先は東南アジアであることが多いですが、一部では国内生産に回帰する動きもあります。
輸送コストやレスポンスなどを考えた場合、むしろ国内でやったほうが小回りが利いて良い場合も少なくありません。

ただし、この話は「国内で製造すれば海外製品より高クオリティが担保される」という前提があればこそ成り立つわけで、実は今、この部分がグラグラと揺らいでいます。
下手をすると、海外製品のほうが綺麗で品質も安定している場合すらあるからです。

この20年ほどの間に、日本の多くの製造現場では、優れた手仕事の技術が継承されることなく消えていきました。そのため、生き残っている「今もってMade in Japanクオリティを体現できるメーカー」に、海外生産から回帰した業者の注文が集中するという現象が起こっていたりします。

ユリシーズは創業当初から一貫して国内生産です(minimoを除く)。これは特にポリシーがあったからではなく、スモールスタートではそうせざるを得なかったからですが、期せずして、日本にはまだまだ優れた職人が残っていること、しかし手をこまねいていれば確実に消えていくという現状を知ることが出来ました。

「技術」という目に見えない貴重な資源を次世代に残していけるよう、これからも微力を尽くしたいと考えています。

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