大量生産は、いいことだ。

店長エンゾーです。

ユリシーズでは、よくお客様から

「ストラップの長さをLLサイズで作って欲しいんですが・・・」
「特注で、◯◯というカメラのボディスーツを作ってもらえませんか?」
「この製品のこの部分を、こういうふうにカスタマイズしてもらえないだろうか」

というようなご要望を頂きます。

ユリシーズは社内に工場や工房に相当するものが無いため、製品の製造はすべて、日本各地に点在する協力工場にお願いしています。つまり、すべての商品は「量産品」です(生産ロットはまったくもって大したことないですが・・・)。なので、前述のような個別のリクエストには、残念ながらお応えできないというのが現状です。「ちょっと長さを変えてくれるだけでいいのに・・・」という、その「ちょっと」が出来ないことに、いつも歯がゆさを覚えます。

一方で、開業から7年目に入っているにもかかわらず、未だにこのようなリクエストが絶えないのは、お客様から見て、ユリシーズが小さな工房のように見えているからだと思います。これは、実は我々にとって喜ばしいことです。

ユリシーズがモノづくりをする上で念頭に置いていることの一つに、「大量生産品が失ってしまったものを取り戻す」というテーマがあります。これだけ聞くと、いかにも大量生産・大量消費へのアンチテーゼのように聞こえるかもしれませんが、それとは少しニュアンスが異なります。
大量に作れるということは、そもそもその先に、それを必要としているお客様がそれだけ存在するということであり、多くの人を幸せにしている証でもあります。恒常的に量産ができるというのは、それだけで凄いことなのです。ファストファッションしかり、ファーストフードしかり。

その上で。量産するにあたってどうしても諦めざるを得なかった細かいディティールや、手仕事的な温もりや、デリケートな素材や風合い、その他もろもろの要素も、もちろん世の中にはたくさんあります。
もし、そういった「効率とは両立しないと思われている要素」をギリギリまで諦めずに、可能な限り欲張って詰め込んだものを、工夫を重ねることで「量産」できたら?
そういうスタンスで、ユリシーズではモノづくりが行われています。

なので、ユリシーズが外から見て「リクエストを聞いてくれそうな小さな工房」に見えるというのは、ご要望に応えられずに心苦しい反面、送り出している製品が量産品には見えないということでもあり、ある意味嬉しい事なのでした。これからも、熟練の技をもつ工場の職人とともに、「恐ろしく手間のかかる量産」をやっていこうと思っています。

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