結局、機内持ち込みOKなバッテリーはどれで、NGなのはどれなのか。

店長エンゾーです。

最近、飛行機でバッテリーを空輸する際に、制限が厳しくなったという話をよく耳にします。
ユリシーズではボディスーツを作る際、東京の協力工場の元へ、紙モックを着せたカメラを頻繁に送ります。この時、近年面倒になったのが、バッテリーの取り扱いです。
カメラは郵便局から郵パック(つまり航空便)で送るのですが、カメラ内に入れたバッテリーは「抜いて下さい」と言われ受け付けてもらえません。なので、しかたなくバッテリーだけ別に陸便(ヤマトとか)で送っています(;´Д`)。

で、これが荷物の発送だけでなく、人間が飛行機に乗るときにもこういった規制がかかり始めているわけです。ある知人は海外の空港で、預け入れ荷物の中に入れていたバッテリーが検査に引っかかって、全部手荷物への移し替えを余儀なくされました。

この件に関して、「機内持ち込みは全面NG」であるとか「いやいや、預け荷物がダメで持ち込みだったら何でもOK」とか、世間ではやや情報が錯綜している感があります。なにしろ、規制の対象になっている「リチウムイオンバッテリー」と言えば、パソコンも携帯も電動シェーバーも、今や充電できる家電のほとんどで採用されているポピュラーなもの。
なにより、我々が愛してやまないデジカメこそ、本気で撮りまくる人なら必ず数個は予備バッテリーを持って移動します。もしそれが本当に持ち込み禁止というのであれば、そもそも何一つ持ち込めないことになってしまいますが、今のところはそういう事にはなっていません。

というわけで、実際のところどうなのか、少し調べてみました。

まずガイドラインとして見つけたのが、日本政府の広報です。

『リチウムイオン電池の100wh以下のものは個数の制限なく機内持ち込み手荷物にできる。
リチウムイオン電池はワット時定格量が100whを超え160wh以下のものは2個まで機内持ち込み手荷物にできる。
リチウム金属電池は、1個あたりのリチウム含有量が2グラム以下のものに限って持ち込み可能。』
(出典:安全な空の旅のためにお出かけ前にご確認を。飛行機に持ち込めないもの。:政府広報オンライン)

・・・(´・ω・`)・・・よく分かりません。

いや、線引きは分かるんですが、それらのバッテリーが、ふだん我々が目にする現物としてはどれなのか、そこが分からないとイメージしにくいというか・・・。あと、「飛行機に持ち込めない」という表現も微妙なところで、それが「機内持ち込み」のみを指すのか「機内も貨物室も含めて」なのかも曖昧です。
なので、そのへんのことをもう少し分かりやすくまとめてみました。

まず調べて分かったのは、まったく同じバッテリーでも「機内持ち込み」と「貨物室への預け入れ」で対応が異なる場合があるということ。
そしてもうひとつ、「家電の本体内に組み込まれた状態のバッテリー(取り外しが可能かどうかは関係なし)」と「予備のバッテリー」でも区別があるということ。これら2つの要件が絡み合って、規則が作られているようです。

【機内持ち込みがOKなバッテリーとは】
1.ノートパソコン、携帯、デジタルカメラ、ビデオカメラなどの本体内にセットされた充電式バッテリー。(貨物室への預け入れもOK)
2.上記製品の、予備のバッテリー(個数制限なし)。(貨物室への預け入れはNG!)
3.容量が100whを超えるプロ用ムービーカムや医療用機器などの本体内にセットされた充電式バッテリー。(貨物室への預け入れもOK)

【機内持ち込みが制限されるバッテリーとは】
4.容量が100whを超えるプロ用ムービーカムや医療用機器などの予備バッテリー(2個までOK。貨物室への預け入れはNG!

ちなみに、もっと容量が大きな電池(例えば電動自転車用のバッテリーなど)は、積み込む場所がどこであろうと航空機には載せてもらえません。つまり空輸は無理ってことです。

一般人的には、1と2を理解しておけばOKっぽいです。

(注:2019.12.16追記 日本航空に限り、カメラを受託手荷物の中に入れて預けるのは基本的にNGとのことです。バッテリーの問題と言うより、破損の責任を負いかねるという理由のようです)

平たく言えば、上のようなカメラのバッテリーや携帯のモバイルバッテリーといったものは「機内に持ち込む限り個数に制限はない」ってことです。まずは安心。(でも、なんで機材にセットされている状態でなら預けてもよくて裸ではダメなのか、そこんとこの根拠は正直良く分かりません・・・)

こんな巨大に見えるノートパソコン用のバッテリーですら、100whを超えることはまずありませんので、やはり安心して持ち込めます。

ちなみに、キャセイパシフィックのガイドラインでは、次のようになっています。

『電気のショートを防止するため、機内持ち込み手荷物の中のすべての予備用リチウム電池の端末は以下の方法で保護されていなければなりません。
販売時の包装を保つ, または露出した端末をテープなどで覆う, または各電池を別々のビニール袋(または保護用ポーチ)に入れる』

このような規制は、そもそも数年前からアメリカ連邦航空局が繰り返し警告・要請してきた結果なんですが、国内の航空各社も規制を強化するかもしれませんね。

というわけで、旅するカメラマンのお役に立てるよう、ユリシーズでも、カメラの予備バッテリーを機内に持ち込むための保護ポーチを考えてみようかと思っています(^_^)。

2件のコメント

  1. 機材にセットされている状態でも、持ち込みは良くても貨物室はNGですよ。
    そもそも電子情報機器やカメラ本体自体が預け貨物NGです。
    発火リスクもありますが、これらは貴重品扱いのため預かってもらえず、自己責任で手荷物で持ち込むように決められているようです。

    1. 情報ありがとうございます。

      記事を執筆した2015年当時と現在で規定が変わった可能性もあることから、再度、航空各社の
      規定を調べ直しましたところ、日本航空(JAL)ではカメラを受託手荷物として受け入れない
      という規定がございました。よって、その旨を加筆しております。ご指摘頂きありがとう
      ございました。

      一方で、それ以外の国内線の航空各社(全日空、ジェットスター、ピーチ、ソラシドエアー、
      スターフライヤー、スカイマーク)については、「電源を切り、適切に保護された状態で
      あれば、バッテリーを装着した状態のカメラを受託手荷物の中に入れて良い」という
      レギュレーションになっておりました。
      また本文中にありましたキャセイパシフィックも同様でした。
      (AIR DOとフジドリームエアラインズに関しては確認が取れませんでした。)

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