XF27mmF2.8 インプレッション

XF27mmF2.8 インプレッション

店長エンゾーです。

カメラ界には「パンケーキレンズ」という言葉があります。ざっくり言えば「極端に厚みが薄い交換レンズ」のことです。大体において、この手のレンズはメーカー的に「便利なズームレンズの先にある、奥深い単焦点レンズの世界を知ってもらうための最初の一本」という位置づけになっており、そのため交換レンズ群の中でも比較的安価であることが一般的です。
その一方で、より高価で明るい単焦点レンズと比較すると格下な存在とみなされることもしばしば。ただでさえパンケーキレンズが大好きなエンゾーとしては、そう言われると天邪鬼の血が騒ぎ、余計に贔屓にしたくなってきます。

そんなわけで、今日取り上げるのは富士フイルムのXF27mmF2.8。フジのミラーレスカメラ用交換レンズの中でも比較的早い時期に登場した、正統派の(?)パンケーキレンズです。フルサイズ換算で41mmに相当するので、やや広角寄りの標準レンズと言うことが出来ます。

39mm径の汎用スリット型レンズフードが、あざといくらい良く似合いますね。ついでに言うと、X-M1のようなミニマルなボディと組み合わせると、お互いの強みを生かし合って機動力がUPします。
(以下、作例をクリックすると拡大表示されます)


(X-M1 FUJINON XF27mmF2.8 ISO200 1/150 F3.6)
歪曲は、ごく自然な樽型。ご覧の通り、ほとんど気にならないレベルです。あまり絞ってませんが、周辺光量もそこまで極端には落ち込んでいません。


(X-M1 FUJINON XF27mmF2.8 ISO200 1/180 F3.6)
ドアのアップ。ほとんど最短撮影距離に近いです。ピントが合った部分は、ひび割れたペンキの一片まで、かなり克明に写っています。ローパスレスの恩恵でしょう。
それにしても、この場所は結構日陰で暗かったんですが、なんでこんなに低感度で撮ってるんでしょうかね、私は・・・。このスポットでは、手ブレのカットを量産しました(汗)。


(X-M1 FUJINON XF27mmF2.8 ISO400 1/125 F3.6)
被写体を画面中央から外していますが、ピントの合ったベルの上に降り積もったホコリまで、しっかり解像しています。ボケ味も柔らかく、テッサータイプのようなうるささもありません。


(X-M1 FUJINON XF27mmF2.8 ISO200 1/90 F3.2)
ごちゃごちゃした背景ですが、やはりきれいにボケています。


(X-M1 FUJINON XF27mmF2.8 ISO400 1/4000 F3.6)
この場面は真昼の直射日光が当たり、かなり意地悪なシチュエーションですが、白い壺の微妙な乳白色がきれいに表現できており、レンズというより画像処理エンジンの素性の良さが伺われるシーンです。


(X-M1 FUJINON XF27mmF2.8 ISO400 1/420 F2.8)
再び開放。発色に抑制が効いており、派手さのないしっとりと落ち着いた印象です。さすがにAPS-Cで27mmですから、手前のポストにピントがあるのですが、奥の人影がそこまでボケてはいません。


(X-M1 FUJINON XF27mmF2.8 ISO400 1/75 F2.8)
レンズの話ではないですが、このカットのみ、色味を調整しています。すべてJPG&AWBで撮っていますが、撮って出しではけっこうマゼンタが強く出ていました。


(X-M1 FUJINON XF27mmF2.8 ISO200 1/150 F3.2)
真ん中の皿にピントを合わせたカット。前ボケも素直です。


(X-M1 FUJINON XF27mmF2.8 ISO400 1/42 F2.8)
よく手ブレしなかったなと思える一枚(汗)。X-M1とこのレンズの組み合わせだと、もちろん手ブレ補正はありませんし、ふわふわと軽いので、油断するととにかくすぐブレます。


(X-M1 FUJINON XF27mmF2.8 ISO400 1/58 F2.8)
同じ駄菓子屋にて。絞り開放でピント位置は中央のご主人。やはり、換算41mmは適度に周囲の状況を入れつつ主題を捉えるのに向いている、扱いやすい画角であると思わせるカットです。


(X-M1 FUJINON XF27mmF2.8 ISO200 1/5 F3.2)
最後は、白黒向きの被写体だったので後処理で色を抜いてみました。シャッタースピードは限界まで遅いです。柱にボディを押し付けながら撮っています。絞りは3.2ですが、被写体との距離とピント位置によっては、このようにパンフォーカス気味に表現することも出来ます。

気がつけば、絞り込んだカットが一枚もありませんでした(汗)。とはいえ、開放から1~2段でもこの解像感ですので、絞り込んでもこの傾向は変わらないと思われます。また、ゴーストやフレアは(皆無ではありませんが)ほとんど発生しませんでした。
使いこなしで気をつけたい部分があるとすれば、通常のモードで、最短撮影距離が60cmと、かなり遠いこと。マクロに切り替えても34cmなので劇的に短縮されることはなく、テーブルフォトでは「寄り切れない」と感じる場面が少なからずありました。ただし、このくらいの焦点距離の場合、マクロモードにしてもAFが極端に遅くなることはまずないので、常時マクロモードでいいと思います。

総じて、決して「初心者向けの安いレンズ」などではなく、スナップ用として充分以上の実力を備えた、一本勝負に耐えうるレンズであると感じました。

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