こんにちは、長澤です。前回は、ガジェットオタクの店長が、iPadを持ち歩くためのバッグをずっと水面下で温め続けて来ていたことをお知らせしました。今日は、過去の試作品や工夫点、現状などバッグ制作の過程を紹介します。
【薄さへのこだわりにより直面した問題】
エンゾー「これが今までの試作品の一部だよ」
長澤「ひえー!こんなにたくさん!2年前から今まで、どんな風に変わって来たんでしょうか」
《バッグを上から見たところ》
エンゾー「もともと、財布・スマホ・家の鍵・iPadの4つを入れるバッグにするつもりだったんだけど、iPad+2つまでは入るけど、残りの1個がどうしても入らなかった」
エンゾー「そこで、外側にポケットを付けた。大きめのポケットにしたのは、長財布の人もいると思ったから。これで無事に4つの物が入るようになったものの、薄さにこだわっていたはずなのに、今度はポケットのせいでバッグ全体が厚くなってしまったんだ」
長澤「それに前回の話の流れだと、入れたいものは結局、その4つでは収まらなかったんですよね?」
【ただの「薄いシンプルなバッグ」から「それだけで1日過ごせるバッグ」へ】
エンゾー「そう。試作品を実際にしばらく使って過ごしてみると、すぐに、1日この4つじゃどうしても足りないと思うようになったんだ。取材や趣味撮影のために、小さくて良く写るカメラが1台は欲しい。ビジネスで名刺交換はするから、名刺入れもあったほうがいいよね。それから、途中で絶対バッテリーがなくなってくるから、充電器もしくはモバイルバッテリーのどちらかは必要になってくる」
長澤「確かに、1日過ごすとしたら、そのくらいは必要ですよね。でも、そんなにたくさん入って薄いバッグなんて作れるんでしょうか」
エンゾー「そこなんだよね。薄くしたいけど入れたいものは多い。異なるコンセプトがバッティングしていた。バッグに入れるものを最低限に抑えるのか、入れたいものが全部入るようにある程度厚みのあるバッグにするのか、どちらか選択しなきゃいけなかった」
長澤「う~ん、究極の選択ですね。それで、どっちを取ったんですか?」
エンゾー「少ししか物が入らないというコンセプトは、一見シンプルで良さそうに感じるんだけど、行動を制限されるバッグは、いずれ使わなくなると思った。なので、見かけの薄さは一旦捨てて、外側にポケットを付けるのをやめて、奥行きを増すことで中に入れたいものがきちんと入るバッグにすることに決めた」
長澤「多少厚みが出てでもバッグの中を充実させたんですね。じゃあ、そのことで中のレイアウトはどう変わったんですか?」
【重要だったポケットの配置】
エンゾー「最初は、タイルみたいに縦横きっちり揃えてスペースを作ればうまくいくと思ってたんだけど、実際にものを入れたらそうはならなかった。物を入れるとポケットはレモン型に膨らんでしまうんだ。一番厄介だったのが、後から増やしたカメラだった。他のものがどれも薄い中で、コンデジだけがボコッと分厚いので、とても収まりが悪いんだ」
長澤「確かに、財布よりずっと厚いですね」
エンゾー「そこで、どこだったらレンズの出っ張りが邪魔にならないか試した結果、2つの前ポケットの間になら居場所があることが分かった。それが、ゴツゴツしたものが重ならないように物の中心をずらすことで狭い範囲に物がたくさん入るという気づきにつながったんだ」
長澤「すごい!バッグが全然膨らまずにきれいに入りましたね。まだ少し余裕があるので、出し入れしやすいし、もっと物が入りそうです」
エンゾー「うん。カメラを入れるミニケース自体が仕切りの役割を果たしてくれて、横にできたスペースにも物を入れることができたので、通常ならデッドスペースになる部分が収納として活かせるようになった。効率の良い物の入れ方とは何かが分かってきたので、これで一気に前進した」
【長財布でもスマートに収まるポケットに】
長澤「ところで、長財布はもともと外側の大きなポケットに入れるはずだったのに、外側のポケットを無くしたのなら、どこに入れることにしたんですか?」
エンゾー「もともと、↑ここ↑が財布を入れるスペースだったんだけど、Lジップウォレットくらいの小さくて薄い財布なら丁度いいものの、長くて分厚い長財布だと入らない。なので、どんな財布を使っている人でも使いやすいように、財布を入れるスペースは、ポケットじゃなくてトンネル構造にすることにした」
長澤「ポケットとトンネルって何が違うんでしょうか」
エンゾー「ポケットは、入り口が広くても底に行くほど狭くなり、最後にはマチがなくなる。そのため、物が底に辿り着く前に途中で引っかかってしまうんだ。トンネルは入り口から底まで同じ幅の筒状なので、スムーズに物を出し入れできる」
長澤「なるほど!」
エンゾー「ところが、こんな風にバッグの中に色々と機能性の高いポケットを組み込むと、製作がすごく難しくなって、その分コストも跳ね上がってしまったんだ。試作だけでもかなりコストがかかるから、量産すれば尚更ね」
長澤「国内で生産するとなると、すごい価格になってしまいそうですね。それじゃあ、どうしたんですか?」
エンゾー「現実的な価格で作るために、バッグの外側とインナーケースを別々に作って、あとからはめ込むことにした」
長澤「おお!大きく変わりましたね」
エンゾー「そうなんだ。ここからは今度話そう」
何度も試作を繰り返してきた、iPadが入るバッグ。ここまでの話は試作のほんの一部。続きはまた今度…