こんにちは、長澤です。
ついに今月下旬、保険証ケースが工場からULYSSESオフィスに到着しそうです!検品を行い、8月には皆さまにお披露目できるのではないかと思っています。
さて、保険証ケース開発記は、今回で3話目です。
▼これまでのお話は、こちらをご覧ください。
ミニマルな保険証ケースができるまで①最初はお年寄り用でした
ミニマルな保険証ケースができるまで②そしてバトル勃発!?機能重視VS携帯性
前回お話ししたように、エンゾー店長とデザイン企画佐藤さんで意見が分かれた保険証ケースですが、ひとまず、高齢者向けの保険証ケースを試作してみることになりました。
パターンA:バインダー金具で中身をカスタマイズ
エンゾー店長のイメージを元にできた試作品がこちら。
失くしにくい大きめサイズで、要望に応じてフレキシブルに中身をカスタマイズできるケースです。絶対条件だった縦3段のカードケースとチャック付きのポケット、更にA4の用紙を3つ折りで収納できるポケットもあり、必要なものをすべて一つにまとめることができます。
この試作品は、欲しい機能をたくさん盛り込んだケースになったのですが、一つ問題がありました。それぞれのポケットを取り外し可能にするためのバインダー金具です。
できるだけ既存の金具サイズの中で一番小さなものにしてみたものの、かなり厚くなってしまいます
また、金具自体の価格が高額なので、それに伴い、商品の販売価格も高くなりそうです。できることなら、このケースは「上質で重厚なシステム手帳」というより、家族ひとりひとりが気軽に持てるようなものにしたい…。そこで、コストを抑えるため、違う方法も考えてみました。
パターンB:ホックを使ってコストを抑える
生産と資材のコストがかかりすぎないように工夫したサンプルがこちら。
バインダー金具だった部分を、市販のファイルで見られるようなホック留めにすることで、コストが随分抑えられそうです。そして全体のサイズも少し小さくなりました。
ここまで、エンゾー店長のイメージに沿った、高齢者向けのサンプルを作りましたが、やはり、佐藤さんの頭の中には、もう少し小さくて持ち運びやすいサイズのものが浮かんでいます。そこで、一度佐藤さんがイメージするケースも形にしてみることにしました。
パターンC:最小限の機能で持ち運びやすく
これが、そのサンプルです。いちばんの特徴は、カードケースを縦3段から1段のめくり方式に変えたこと。このタイプになったことで、カード全体をぱっとみて選べる点はそのままで、より小さなお薬手帳にぴったりフィットしたサイズ感になりました。
このケースにも、カードサイズの保険証とB7サイズの医療証、お薬手帳といった、最低限必要なものが入るようになっています。これで、縦の長さはパターンAの3分の2程度になりました。
パターンA~C、どれを製品化する?
さあ、3パターンのサンプルがそろったので、ここからどの方向で製品化を進めていくのかの検討会議です。
結論から言うと、デザイナーの佐藤さん案であるパターンCに決まりました。佐藤さんは、自分のアイデアが店長の希望する方向性とかなり違っていたので、すんなりCに決まるとは思っておらず、内心びっくりしたそうです。
実は、これには理由がありました。保険証ケース開発のきっかけをいま一度思い出してほしいのですが、もともとは、軽い認知症が始まったエンゾー店長のお母さんが保険証や診察券などをたびたび紛失するようになったので、『認知症初期のユーザーが物をなくさずに自力で病院に通うための保険証ケース』をデザインしようとしていました。
しかし、どれだけ便利なものを作っても、使う本人の「うっかり」をゼロにすることは出来ません。だったら、もう一人で病院に行かせること自体が無理なのではないか?と考えるようになったのです。
そこで、今後は店長がお母さんを病院に送り迎えする方針にしたので、保険証ケースも『認知症患者本人も付き添いの人も使いやすいもの』へとニーズが変わりました。その結果、AやBのようなかさばる形に拘る必要がなくなり、小さくシンプルで持ち運びやすいパターンCを作ることに決まったというわけです。
※この製品に限らず、開発に時間がかかっているうちに発案者であるエンゾー店長の考えが変わってきて商品のコンセプトが違うものになることは、ユリシーズあるあるです
透明の窓の秘密
パターンCのケースにある、“2つの透明の窓”。この窓は保険証と医療証を提示しやすくするためのポケット部分なのですが、ここにも、デザイン企画の佐藤さんのこだわりがあったようです!
一見普通の透明シートのようですが…。
次回「ミニマルな保険証ケースができるまで④透明フィルムへのこだわり」お楽しみに!