店長エンゾーです。
デザイナーの三好も指摘していた通り、結構ノリノリでOM-D E-M5 Mark IIのボディスーツの設計に入ったわけですが、着手前から薄々感じていた「こいつは一筋縄では行かなさそうだなあ」という予感が、早くも現実のものとなりました。のっけから難航中です(^_^;)
ユリシーズでは、ボディスーツを作るにあたって、いくつか不文律があります。
1.撮る楽しみに、持ち歩く楽しみを上乗せできるものであること(デザインと質感の向上)。
2.心地良く使うことができ、可能な限り元の使い勝手を犠牲にしないこと(操作性の維持)。
3.場合によっては、オリジナル以上の機能を持たせること(+αの工夫)。
4.可能な限り革で覆い、ダメージから守れる構造にすること(堅牢性)。
だいたいこんな感じです。
もちろん、いつもすべての条件が完璧に守れているわけではありません。「ボディスーツの構造上、どうしても隠れてしまうボタンを面圧で押す仕様」などは2に抵触していますし、ネジを三脚穴から抜いてボディスーツを取り外さなければ、バッテリーの交換が出来ないモデルも多々ありました。
最終的には、すべてのメリット・デメリットを鑑みて、カメラと使い手にとってプラスの方が多いと判断した時に、初めてボディスーツ作りにGOサインが出されます。
もっとも、課題をひとつ解決するごとに、ノウハウもたまるもの。以前は諦めていたような無理難題でも、今ならクリアできる…そういうことも少なくありません。
今回のOM-Dで言えば、その一つが「バリアングルモニターを生かし、かつ、SDカードとバッテリーをスムースに交換できること」という、非常に欲張りな命題です。この条件をクリアするには、側面及び背面はほとんど露出させなければならないので、せめて前面はできるだけ革で覆いたいところ。そういう意図から、下のようなデザインがはじき出されました。
(覆えるところは全て覆うというルールに則ったデザイン。しかし・・・)
E-M5 Mark IIは薄型のデザインを優先していることから、指がかりの突起は低く、初代よりかなり改善されたとはいえ、いまだに「グリップしやすいカメラ」とは言いがたい部分があります。グリップ感の改善はユリシーズの得意分野なので、重量のある長玉を付けても快適に握れるよう、高いグリップ感を実感できる形状にすることにしました。
しかし、この後思わぬ壁にぶつかります。
(側面のマスキングテープ部、マジックで書いた黒い線がモニターの回転する軌道)
前モデルのチルトアップモニターと違い、バリアングルモニターは、「一度開いて、そのあと回転させる」という2アクションでモニターの角度を動かします。つまりヒンジを軸にクルクル回るわけですが、この回転半径内には、干渉しそうなものは何も配置することが出来ません。従って、ボディ向かって右手側は、ほぼ革で覆えないことが判明しました。残念ながら、ここは若干のデザイン変更を余儀なくされそうです・・・。
とはいえ、上のデザイン案は個人的にかなり気に入っているので、そっちはいっそフルカバータイプとして実現しようか?などと妄想しております。
まだまだ課題が山積みですが、ひとつひとつクリアしていきたいと思っています!