RX1RII用グリップ製作記(その3)

RX1RII用グリップ製作記(その3)

店長エンゾーです。

今日もせっせとグリップを削っております。

前回から二日間放置して粘土が乾いたので、ようやくグリップの正確な形を削り出す作業に入りました。

リューターを使っても良かったのですが、結構柔らかい素材ですので、ヤスリを使って手で削ることにします。

とにかく、削る → 握る → 削る → 握る → 削る・・・を延々と繰り返します。ときおり白い粉を鼻から吸ってむせている様子は、放送コードに引っかかりそうなので割愛します。
使ってるの、100円ショップの金属用ヤスリでは?」といった的確過ぎる指摘もご遠慮願います。

削り始めてから小1時間ほどで、ざっくりした形が見えてきました。いったん、RX1に装着してみましょう。

まだ荒削りですので、寸胴です。もう少しダイエットが必要ですね。

予告通り、フィンガーチャネル(指の形の凹み)は一番上の中指用のものだけにして、あとは平らにします。

真横から見ると、ほんの少し末広がりになっているのが分かります。これは狙ってこうしたわけではなく、何度も握りながら少しずつ削っていくと、自然とこの形になっていました。よく一眼レフのグリップで見かけるこの形には、やっぱり意味があったんだなあと感慨にふけりながら、更に削ります。

フィンガーチャネルまわりの緩やかかつ不定形な曲線は、やはり神経を使うところ。ちょっと油断すると削りすぎてしまい、何度も粘土を盛り直すことに。最後に、目の細かいサンドペーパーで表面を整えます。
実はこれ、実際には天然木で作ろうと目論んでいたりします。ただ、この形に一つ一つ手で削っていたら幾らになるかわからないので、NC旋盤で削り出せないかなと考えていて、この紙粘土の試作品は、スキャナで3Dデータを採るためのモックとして製作しているのでした。

だいぶスッキリした横顔になりましたが、旧来の一般的なグリップと違い、カメラ側面をほとんど覆っているのが特徴であり大事な部分でもあります。この膨らみがあることで、手のひら全体がピッタリとグリップに密着し、飛躍的に安定感が増します。

正面右側からのアングル。けっこうフィンガーチャネルの凸凹がはっきりした形であることが分かります。また、中指がかかる上段は奥行が浅く、薬指と小指がかかる下段は深くなっています。これがどういうふうに作用するかというと・・・

上のように、中指はグリップにぐるっと巻きつけることができ、またグリップに高さと奥行があることで、薬指と小指もしっかり握りこむ役割を果たせるようになります。これがグリップ無しの場合、そもそも一眼レフのように重いものをしっかり持てる「中指と親指の付け根の2点で支える握り方」にならず、単純に摩擦力と握力に頼った、コンパクトカメラらしい「つまむような握り方」になるので、落下させないように薬指や小指をボディーの下側に回りこませる必要があり、40万円を超える高価なカメラとしてはなかなか頼りないです(もちろん実際には、グリップのあるなしにかかわらず左手も添えるわけですが)。

そういうわけで、とりあえず形状は決まったのですが。むしろ、グリップ製作はここから本番と言っても過言ではありません。
本当に、こんな複雑な形状のグリップを天然木で削り出すことが出来るのか。そもそも、土台となるアルミのベースを、きちんと(高価にならずに)作れるのか。まったく五里霧中です・・・。
RX1RII用グリップ製作記(その4)に続く

【これまでの工程】
RX1RII用グリップ製作記(その1)

RX1RII用グリップ製作記(その2)

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